極黒のブリュンヒルデは何故失速してしまったのかを考える2 高屋は必要な存在だったのか?

昨日の続きで一部は非の打ち所がない程完璧だったにも関わらず二部移行失速し投げっぱなしエンドで終わってしまった岡本倫先生のSFファンタジー漫画、極黒のブリュンヒルデ

連載終了から大分経ってしまったけれど極黒のブリュンヒルデは何故二部移行駄目になってしまったのか?を考えたい2。


 

高屋

f:id:romarika:20160915060809j:plain

「NTR」「癌細胞」と読者から嫌われまくった高屋。
私は女というのもあるんだろうけど高屋は別に嫌いじゃなかった。

高屋はストーカーを自称したり変態面が協調されイケメンキャラクターのイメージはあまり無いけど、一般的に見ればモデル張りのイケメン・県内有数の進学校に通う・体育会系のDQN5人相手でも勝てるとかなり強い・好きな女のために躊躇いなく土下座する・高身長・海外留学出来て結構なお屋敷に住む金持ち、とスペックだけで見ればこんな奴いねえだろと思う程ハイスペック

こんなかなりのハイスペックな上に腐卵した初菜に殺されかけてそれでも全く気持ちがブレずに一図に好きだと言ってくれるんだから、初菜が80年生きると仮定して長いスパンで考えてもこんな良い男とめぐり合うことは初菜の人生においてもう無いだろうと言い切れるレベルだ。

岡本先生はこいつなら初菜を譲ってもいいだろう、と読者が思えるようなキャラクターに高屋をしたかったように私には思える。
実際に初菜の進路を考えてみたら男というのは非常に簡単で尚且つ幸せになれる進路だと思う。

でもだからと言って読者に愛される存在にはなれなかった

f:id:romarika:20160915044236j:plain

暗殺教室の作者がインタビューで「僕らは友達に善意でマンガを見せているのではなく、読者の方にお金をいただいてマンガを読んでもらっている。それなら読者が欲しがっているものが何か考え、それに応える意識が絶対に必要です」と言っていて、高屋は”読者の求める極黒のブリュンヒルデとは正反対のキャラクター”だったと思いなおした。

ぶっちゃけこの画像に刺激を受けてこの記事を書くことにした訳だけど。

私が求める「一部のような極黒のブリュンヒルデ」と「高屋編の序盤」は正反対の完全なるラブコメで、ネットでバレを見てしまうようなせっかちな性格もあってストーリーが動いてない!とイライラしながら読んでいたのを思い出した。

それにヒロイン達にキチンと進路を描くのならばともかく投げっぱなしで終わってしまったぐらいなら高屋は益々いらない存在だったのかもとも思う。

二部は高屋編以降作者と読者の間に埋められないような溝があったように感じた。

腐卵問題投げっぱなし

二部は腐卵が大きな障害となってヒロインたちの前に立ちはだかった。
結局腐卵は再生の初菜を除き解決法が作中で示されないまま終わってしまい、腐卵とは結局何だったの?で終わってしまった。

現情報だと生き残った佳奈が腐卵した場合、へクセンヤクトのレンに殺される以外の道は存在しない。
よって天文台で暮らしていくことなった佳奈はいずれはバッドエンドを必ず迎えてしまう。
他の伏線や謎はともかくとして佳奈が生き残るならばこの腐卵問題だけは絶対に解決しなければならなかった
これを投げっぱなしで終わったのも評価が低くなった理由の一つ。

統括

  1. キーパーソンである小鳥の死
  2. ストーリーの遅さ
  3. 回復要員初菜のあまりの強能力っぷり
  4. 説得力のない村上父の動機
  5. 癌細胞高屋

ここら辺が極黒のブリュンヒルデがつまらなくなってしまった原因かなと私は思う。
小鳥の死はストーリー上仕方がないとして展開について文句を言うつもりはないけど、他はなんとかならなかったものか…。

そして岡本先生は「あること」を忘れてしまったからこうなってしまってしまったんじゃないかと思う。
そのことは長くなってしまったから次の記事で書く。
それと今回は見直す時間が無かったのでまた今度この記事は少し編集する。


 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. Qs より:

    こんにちは。最近になって単行本を揃えて一気読みしたのですが、伏線に次ぐ伏線を投げっ放しで終わってしまい何だこれはと思ったところで、当然の如くネットやこのブログでは既に言いたいことが全て言われていました。私は流行に遅れてから連載ではなく単行本で読む方なのですが、これを当時連載で追っていた人は本当に辛かったでしょうねー。作者も最初から色々な伏線を回収するつもりが無かったのは衝撃です。
    やっぱり商業でやる以上は自己満足ではなく読者(ユーザー)が求めているものを作る、あるいはそうあるべきと反省しないと、同じことを何度も繰り返しそうだと思いました。
    一年以上前の記事ですが、前から読んでいて個人的な溜飲が下がる思いでしたのでコメントさせていただきました。

    • mangaotaku より:

      >Qsさん
      返信大変遅くなって申し訳ありません。

      伏線投げっぱなし終了は納得がいかないですよね…。
      2部はつまらない回が多かったとは言え、伏線はなんだかんだで強引にでも全て回収すると思っていました。
      なので179話であと残り3話と判明した時はこれは全ての伏線回収出来ないだろ!と危惧したのですが残念ながらその通りになってしまいました。
      当時のネットの反応も良くなかったのを覚えています。

      趣味でやるのだったらお金の面では読者に対する責任が無いので色々なことが投げっぱなしになったり更新しなくなったりするのもまぁ仕方がないだろうとも思うのですが、
      商業誌で連載するということは漫画が商品になるということなので読者、つまりはユーザーが満足出来る作品を作って欲しかったです。
      それが本当に難しいのは分かっているのですがエルフェンリートの時は出来ていたので打ち切りでなければ出来る作者なんだと思っていました。

      ここ最近はコメントも全然貰ってないので(ブログ更新サボり気味なのが原因ですが)感想を頂けたのは嬉しかったです!

  2. 如月千怜 より:

    どうも初めまして。非常に興味深い考察をされていますね。
    私も今年に入ってから偶然この極黒のブリュンヒルデを古本屋で手に取ったのですけど、ヴァルキュリア編まではとても素晴らしい漫画だと思いました。
    ただそれ以後のエピソードは管理人さんの言う通り、面白くない話も多かったですよね。

    二部から失速した理由の統括に関しては、初菜の再生だけはどう考えてもやりすぎだったと思います。
    私は死んだキャラクターを生き返らせるという設定が出た時点で「倫ちゃんも地に堕ちたか(失礼)」と思いました。
    私はエルフェンリートも最終巻まで買い揃えたのですが、あの作品は本当にキャラクターの死に対してシビアなのが特徴でした。実際にブリュンヒルデでも初菜が登場する前ではキャラクターの死に対して非常にシビアだっただけに「この設定はあんたの芸風じゃない!」って叫びたくなりましたよ。
    特に村上君を三度も死なせて生き返らせたのは主人公補正乱用しすぎですよね……
    (ちなみにこの三度の生き返りには沙織戦の転時もカウントしています)
    沙織戦は敵の能力を逆に利用しただけだから、そこまで気にしてはいなかったのですが二度目の生き返りとなるとさすがに興ざめが勝ちました。三度目は佳奈と美奈がかわいそうとしか言いようがないです。
    ちなみに私はストーリーの遅さや村上パパ、高屋に関してはそこまで気にしていないです。
    むしろ私はヘクセンヤクトの雑な扱いの方が不満でした。ヴィンガルフに対抗するためにヘクセンヤクトを設立したって豪語するくらいなら彼女らも最終決戦に参加してほしかったです。
    私は美樹が(一番ではないけど)結構お気に入りのキャラだったので、この扱いにはさすがにガッカリしました。

    ただ不満点はあれども、私はこの漫画が好きです。
    ヴァルキュリア編までで判断すればかなり素晴らしいストーリーだと思いますし、キャラクターもかなり魅力的でした。
    特に奈波編、スカジ編、ヴァルキュリア編の三つのエピソードはエルフェンリートを初めて読んだ時の感動が蘇ったように感じられました。それこそこの素晴らしい物語をもっと友達に勧めたいと思うくらいにです。
    だから私は、終わり方が多少雑でもこの楽しかった思い出までは捨てないようにしています。
    (ちなみにアニメ版は一番好きなエピソードであるスカジ編が未収録なので見ていません)

    こんな古い記事に今更残すようなコメントではないかもしれませんが、初菜に対する考察に心を打たれたのと、ヘクセンヤクトの待遇に対する不満を発信したかったのでコメントさせていただきました。

    追記
    私の好きなキャラは先述した美樹と、カズミ、佳奈、奈波です。
    男キャラでは九が好きでした。

    • mangaotaku より:

      >如月千怜さん
      返信遅くなって申し訳ありません。

      極黒のブリュンヒルデでは一部までは本当に素晴らしいですよね~。
      当時は流石あのエルフェンリートの作者だと思いながら読んでいました。

      私はスカジ編の辺りからリアルタイムで読んでいたのですが毎週毎週ハラハラドキドキしっぱなしでした。
      毎回次回がとても待ち遠しかったですね。

      初菜は初登場した時から回復要員になるのでは?と私も含め読者から推測されていました。
      どのキャラクターにも言えることですが、味方サイドをあまり強能力にし過ぎると緊張感がなくなって物語が面白くなくなってしまうんですよね…。
      回復要員をストーリーに出したいとしてももう少しバランスを考える必要があったと思います。
      今となっては回復要員自体いらなかったんじゃないのかな、と私は思っていますが。

      佳奈姉こと美奈は結末だけを見るのなら何のために登場させたのかよく分からないんですよね。
      連載中は美奈が佳奈の帰る場所になりそうと思っていましたがそうはならず、結局佳奈を苦しめるだけの死で終わってしまいました。
      当時は初菜の魔法が進化して村上と美奈、両方助かるかも…とか思ってたんですけどね。

      ヘクセンヤクトも登場した時は読者の間で物凄く盛り上がっていましたし私自身も盛り上がってました。
      ヴァルキュリア戦に全く参戦しないのが残念でしたが、一部ではちゃんと役回りを演じてくれたと思います。
      二部ではこれといった活躍が無く終わってしまったの非常に残念です。

      アニメ版はペース配分がとにかくおかしくて奈波編までは素晴らしい出来でした。
      なのでそこまでは見る価値があると思います。
      その後は異常なレベルでペースが速くて駄作になってしまってます。

      また私は小鳥が一番好きなキャラクターです。
      徹底的な善人っぷりが好きです。
      村上も一部では好きだったんですが二部でヘタレになってしまい活躍もしなくなり評価が大きく下がりましたね。

      最後に感想ありがとうございました。
      自分が書いた記事に「心を打たれた」と言って頂けてとても嬉しかったです。