進撃の巨人 114話 ネタバレ感想 ジークの真意が明らかに

進撃の巨人114話「唯一の救い」の感想を自分なりに書いていく。
ネタバレ注意。

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ラーゴの惨劇

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これは進撃の巨人2期のED「夕暮れの鳥」に出てきたシーンそのものだな。
1200年前ってそんなに大昔だったのか…。
でも1200年前でも歴史として勉強したらエルディア帝国に憎しみと嫌悪感を抱くと思う。

当たり前だが槍を持った人間の兵士なんかじゃ巨人に敵いっこない。
リヴァイやミカサやミケのような超人でもこの装備で巨人を殺すことは極めて難しい。
巨人に食い殺される一方だ。

よって巨人に追い詰められ喰われる恐怖と絶望の中、何十万人というマーレ人がエルディア帝国に殺されていったんだろう。
巨人を使えば簡単に国を人を蹂躙し亡ぼすことが出来たはずだ。

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グリシャは「始祖ユミル」を妄信し「ラーゴの惨劇」を否定していたけど人間の性質上、歴史において巨人が悪用されなかった訳がない。
グリシャとエルディア復権派はエルディア帝国については客観的に考えられていないことが今回も描かれている。

人間の性質と巨人の力を少し冷静に考えれば誰でも分かるはずなことなのに見えなくなってしまっているところが妄信って怖いと思ってしまった。

グリシャはガチガチの毒親だった

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今回は87話にモノローグとして出てきた通り、グリシャダイナ夫婦、特にグリシャが実子であるジークのことをエルディア復権の希望としてしか見ていなかったことが徹底的に描かれている。
グリシャはジークに自分の意志で人生を選ばせることなんて当時は考えもしなかったようだ。

88話でクルーガーはグリシャに「ジークやダイナに始祖を継承させる計画を躊躇したはずだ」だと言ってた。
けれど今回からみてもガッチガチのエルディア復権派であったグリシャなら、巨人化継承者の残り寿命が13年になると分かっていてもエルディア復権のために喜んでジークに巨人を継承させてしまったと思う。

グリシャのエルディア帝国を復権したいという気持ちは分かるもののグリシャがここまで毒親だったとは…。
エレンにとっては割といい父親だったのに。

ライナーの母親もライナーをマーレの戦士にするのは自分が名誉マーレ人としてライナーの父親と一緒に暮らしたいという願望からによるものだった。
自分のことよりも子供を大切に思う親なら、命を助けるためを除けば子供に巨人を継承させたいなんて思わないはずだ。

子供の人生の命を自分たちに都合のいいように使おうとしたんだからグリシャ達はジークに見放されても仕方が無かったと思う。

密告の真実

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グリシャは毒親だったもののそれでも尚、ジークは両親を完全に見放していたわけでは無くむしろ親の愛に飢えていたこも判明し、密告は自分と祖父母を守るための苦渋の決断だったことが判明。
こういうのは1コマで終わらせるよりも回想でキチっと書いてくれた方が辛い決断だった伝わってくる。

ジークの真の目的

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ジークの真の目的は「始祖の巨人」の力を使い「ユミルの民」を子供が出来ない体にして時間を掛けて「ユミル民」を滅亡させること。
ジークは「ユミル民」限定の徹底的な不出生主義(子供を持つ事に対して否定的な意見を持つ哲学的な立場)だったことが判明。

今まで「なんでジークは王家の血を引く重要な人間なのに子供を作らないんだろう?エルディア復権を考えるなら可能な限り子供を作るべきなのに…」と疑問に思っていたけどこういうガチガチの思想を持っていたからだと納得。

またジークがこの思想だと壁中人類の存続のためにジークに子供を作らせることは不可能に近い。

ユミルの民を滅亡させるには

そもそも145代フリッツ王である初代レイス王の言う通り「ユミルの民」は存在してはいけなかったんだろう。

ユミルの民に滅んで欲しいと思ってる訳じゃないけれど、私もユミルの民を亡ぼす方法については考えたことがある。

1人残らず「ユミルの民」を皆殺しにするというのはクルーガーのようにマーレ人になりすましている「ユミルの民」もいるし現実的に不可能だ。
ナチスのホロコーストを例にすると分かりやすい。

また子供を作らせないことで滅亡させるというのも、子孫を残したいというのは種としての本能だし子供の作り方を毎日「始祖の巨人」の記憶操作で消していっても子供を作ってしまう人はいるはずだ。
だからそのやり方も不可能だと思っていた。

それにそもそそも子供を成す喜び、子供が生まれる喜び、子供を育てる喜び、そういう人間として当然の権利を奪っていいはずがない。

「王家の血を引く者」にとって都合のいい「ユミルの民」

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「ユミルの民」について情報を整理してみると
①「ユミル民」は「始祖の巨人」の記憶操作と肉体操作を受けることになる。
②尚且つ「ユミル民」は「無垢の巨人」にされたら人間から「始祖の巨人」に絶対服従の無知性破壊兵器になり下がる。
③「始祖の巨人」の真価を発揮できるのは王家の血を引く者のみ
④ただし王家の血を引く者が「始祖の巨人」を継承しても初代レイス王の思想「不戦の契り」に支配され選択は滅亡の道のみとなる

つまりグリシャのような始祖を除く「8つの巨人」を継承した巨人化能力者以外の「ユミルの民」は真価を発揮出来る「始祖の巨人」の所有者には絶対に逆らえない仕組みが出来ている。
よって「ユミルの民」は「王家の血を引く者」に実に都合のいいように作られていると思う。
「王家の血を引く者」は「始祖の巨人」さえ受け継いでいければ「ユミルの民」を永遠に支配できる。

ただメタ的に考えるとこの4つの設定は「進撃の巨人」という作品の世界観とストーリーを成り立たせるためには絶対に不可欠でもある。
この4つの設定が無ければこの作品の世界観とストーリーは成り立たないからこれらの設定は必要だったんだとも思う。

また話を戻して私はエルディア帝国が世界を地獄にしてしまったのは王家の影響が極めて大きいと思う。

「ユミルの民」は巨人になれるという特殊性から選民思想に走り世界を蹂躙してしまったという面は絶対にあるんだろう。
けれど、王家が自分たちにとって非常に都合の良い人種である「ユミルの民」を増やしたかったという面も大きかったんだ思う。

エルディア帝国は古来から「無垢の巨人」を安価な破壊兵器として利用してきたことは既に確定している。
当時「無垢の巨人」を操れるのは始祖の巨人のみ。
その上で始祖の真価を発揮出来るのは王家の血を引く者のみ…。

つまりレイス家は壁を作る前、エルディア帝国の王家だった長い間、「始祖の巨人」を悪用し世界を地獄にしてしまったというのは確定的だ。

いくら巨人化能力者が物凄い戦力になるといっても「始祖の巨人」が真価を発揮し「無垢の巨人」を操ることが無ければ145代フリッツ王カール・フリッツが「我々は滅亡をしなければならない」と思うほど、世界を地獄にすることはなかったはずだ。

それはレイス王なら「始祖の巨人」から受け継がれた記憶を通して罪の意識を感じることだと思う。
だからこそフリーダのようなレイス王はあそこまで「不戦の契り」に支配されてしまったんだと思う。

以上のことから考えて「王家の血」なんて最初から存在すべきではなかった。
それが不可能でも世界のためには途中で王家の血は滅亡するべきだったと思う。

ただ同時に書くと現在ヒストリアが壁中人類の存続のために「獣の巨人」を継承し犠牲になることが事実上強いられていることも事実だ。
現在の壁中人類も「始祖の巨人」を軍事利用することも目論んでいるし、病気に感染しないようにすることも出来なくなるし、国として「始祖の巨人」を戦力から手放すという選択はまぁ出来なかっただろうとも思う。

その状況から考えると「王家の血を引く者」は国を維持するために・国を支配するために・侵略するために・現在の壁中人類のように国を守るために、常に「始祖の巨人」を受け継ぐことを義務として続けてきたんだろう。
つまりは「王家の血を引く者」は国のために犠牲になること強いられ続けてきたと言える。

解決出来るのか?

巨人化能力者は残り寿命は13年、その上で最後は巨人に食われて死ぬことになる。
そんな過酷な定めの本来は誰かに背負わせていいはずがない。
私だったら圧政に苦しみ続けることになっても大切な家族には巨人を継承なんて絶対にして欲しくない。

壁中人類の立場も、マーレ人の憎しみも、ガビのような模範的エルディア人の決意も、初代レイス王の思想も、ジークの不出生主義も、全て心情として理解出来るのが難しいところだ。

理想は「ユミルの民」からその特殊な性質を消すことだろうがそんなこと今更不可能だろう。
次の理想は世界からかつての壁中のように「ユミルの民」とか「巨人化」とか「始祖の巨人」とかそういった巨人という「概念」そのものを無くしてしまうことが出来れば全てが解決だろうがそれはマーレ人のような「非ユミルの民」には記憶操作が効かないことを考えると現実的に不可能だろう。

今「ユミルの民」が世界から憎まれているのは先祖が犯した罪によるものが大きい。
ラーゴの惨劇のように1200年前に先祖が犯した罪が未だに子孫を苦しめている。
つまり「ユミルの民」は先祖の後始末を強制的にさせられていると言ってもいい。

現実世界でも大昔に始まった問題が解決せずに現代まで問題として残り続けていることって大量にある。
その時は何百年、何千年先まで問題として残り続けるなんて当時の人間は考えもしなかったと思う。
だからこそ子孫に残してしまうような問題は起こしてはいけないんだと再実感。

作品が終わりに近づいて行ってる

ジークが王家の血を引く人間だからといって特別優秀な人間ではないことを明らかにするところがこの作者らしいなと思った。

大体の謎や伏線が回収され「進撃の巨人」終わりに近づいていっていると思う。
1話のタイトル通り、ユミル・フリッツが「大地の悪魔」とやらと契約して2000年後にようやく誰かが巨人を受け継がなくて良い世界が生まれるんじゃないだろうか…。

進撃の巨人の114話に衝撃を受けて久しぶりに感想を書いてみた。
それだけじゃなくて頭の中で一年ぐらいずっと考えたことを文章化してみただけなので次からはこんなに長い感想恐らく書けない…。
月1ぐらいで感想を書いていきたい。

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