透明なゆりかご 感想 命の生まれる場所で奪われていく透明な命

沖田×華先生が高校3年生の時にバイトで産婦人科で働いたのを元に描かれた漫画「透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記」。
これがとてもとても良い漫画だったから興味を持ってもらえるように自分なりに感想を書いていく。


 

一般的に産婦人科と言えばどういったイメージを持っているものだろうか。
私はつい最近、日常生活に支障を来す程の体の不調が発生して(not妊娠・性病)産婦人科に診断に行ったばかりだけど待合室には、旦那と一緒に来た妊婦、小さな子供を連れたお母さん、そして赤ちゃんを産んで幸せそうに写真撮影される外国人夫婦、といった私のイメージ通りの幸せそうな人々で溢れていた。
産婦人科は勿論そういった面も大きいんだろう。

でもそれは産婦人科の一部だということをこの漫画で知った。

透明なゆりかごは商業漫画である以上、勿論「愛溢れる夫婦に可愛い赤ちゃんが生まれて幸せになりましたとさ」では漫画にならないのでこの漫画では基本的に問題やトラブルを中心に描かれている。

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「命の生まれる場所で奪われていく命」
「高校生の母親に捨てられた赤ん坊」
「弟が生まれたことでいらない子になった姉」
「性的虐待を受けた小学生(この犯人がもう…)」
「病院に置き去りされた子供」などなど…
産婦人科での問題なので基本的にそのどれもが重い。

特にこの漫画には少なくない堕胎話が出てくる。
「堕胎するなんて最低の女!」「堕胎歴のある女とは結婚したくない」みたいな女だけを責める罵声の声もネットじゃよく見る。
でもそれだけじゃないことがこの漫画では描かれている。

男女の身勝手な性行の末の堕胎だとしたら男側にも半分の責任がある。
にも関わらず堕胎した結果体にも心にもダメージを背負うのは女側。
そして責められるのも女。堕胎の責任は男側にも半分あるはずなのに。
父親である男に捨てられたり強○されて望まない妊娠をさせられて迷いに迷った結果、堕胎することを選んだとしたならばそれは軽々しく批判出来るようなことじゃない。
そのことを考え直した。

この漫画で苦しむキャラクターはほぼほぼ女性なので女性にとっては自分の体について考え直すきっかけにもなるかなと思う。

統括

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画力は本当に低いけれど作者の伝えたいモノは十分伝わってくる。
普通の人なら批判するだけで終わることに気付ける作者の感性が素晴らしい
読んだらよく分かると思う。

悲しい話も内容も多いけれど読んで後悔するような漫画じゃない。
少なくとも私は読んで良かったと心から言える。
もしAmazonなどでポイントを付けれるなら☆5点の満点にしたいぐらい。

 
試し読みはここから →透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記 1巻


 

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